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担保物権

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第7章 留置権 (第295条―第302条)

第295条 (留置権の内容)
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

第296条 (留置権の不可分性)
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。

第297条 (留置権者による果実の収取)
留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。
2 前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。

第298条 (留置権者による留置物の保管等)
留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
2 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
3 留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。

第299条 (留置権者による費用の償還請求)
留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。
2 留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

第300条 (留置権の行使と債権の消滅時効)
留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。

第301条 (担保の供与による留置権の消滅)
債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる。

第302条 (占有の喪失による留置権の消滅)
留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。ただし、第298条第2項(留置権者による留置物の保管等)の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。

第7章 留置権

第8章 先取特権

第1節 総則 (第303条―第305条)

第303条 (先取特権の内容)
先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

第304条 (物上代位)
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

第305条 (先取特権の不可分性)
第296条(留置権の不可分性)の規定は、先取特権について準用する。

先取特権 総則

第2節 先取特権の種類

第1款 一般の先取特権 (第306条―第310条)

第306条 (一般の先取特権)
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
共益の費用
雇用関係
葬式の費用
日用品の供給

第307条 (共益費用の先取特権)
共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
2 前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。

第308条 (雇用関係の先取特権)
雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。

第309条 (葬式費用の先取特権)
葬式の費用の先取特権は、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する。
2 前項の先取特権は、債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式の費用のうち相当な額についても存在する。

第310条 (日用品供給の先取特権)
日用品の供給の先取特権は、債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の六箇月間の飲食料品、燃料及び電気の供給について存在する。

一般の先取特権

第2款 動産の先取特権 (第311条―第324条)

第311条 (動産の先取特権)
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
不動産の賃貸借
旅館の宿泊
旅客又は荷物の運輸
動産の保存
動産の売買
種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
農業の労務
工業の労務

第312条 (不動産賃貸の先取特権)
不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する。

第313条 (不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲)
土地の賃貸人の先取特権は、その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産、その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。
2 建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。

第314条
賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする。

第315条 (不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲)
賃借人の財産のすべてを清算する場合には、賃貸人の先取特権は、前期、当期及び次期の賃料その他の債務並びに前期及び当期に生じた損害の賠償債務についてのみ存在する。

第316条
賃貸人は、敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する。

第317条 (旅館宿泊の先取特権)
旅館の宿泊の先取特権は、宿泊客が負担すべき宿泊料及び飲食料に関し、その旅館に在るその宿泊客の手荷物について存在する。

第318条 (運輸の先取特権)
運輸の先取特権は、旅客又は荷物の運送賃及び付随の費用に関し、運送人の占有する荷物について存在する。

第319条 (即時取得の規定の準用)
第192条(即時取得)から第195条(動物の占有による権利の取得)までの規定は、第312条(不動産賃貸の先取特権)から前条までの規定による先取特権について準用する。

第320条 (動産保存の先取特権)
動産の保存の先取特権は、動産の保存のために要した費用又は動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その動産について存在する。

第321条 (動産売買の先取特権)
動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する。

第322条 (種苗又は肥料の供給の先取特権)
種苗又は肥料の供給の先取特権は、種苗又は肥料の代価及びその利息に関し、その種苗又は肥料を用いた後一年以内にこれを用いた土地から生じた果実(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉の使用によって生じた物を含む。)について存在する。

第323条 (農業労務の先取特権)
農業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の一年間の賃金に関し、その労務によって生じた果実について存在する。

第324条 (工業労務の先取特権)
工業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の三箇月間の賃金に関し、その労務によって生じた製作物について存在する。

動産の先取特権

第3款 不動産の先取特権(第325条―第328条)

第325条 (不動産の先取特権)
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
不動産の保存
不動産の工事
不動産の売買

第326条 (不動産保存の先取特権)
不動産の保存の先取特権は、不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する。

第327条 (不動産工事の先取特権)
不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
2 前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

第328条 (不動産売買の先取特権)
不動産の売買の先取特権は、不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する。

不動産の先取特権

第3節 先取特権の順位 (第329条―第332条)

第329条 (一般の先取特権の順位)
一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第306条(一般の先取特権)各号に掲げる順序に従う。
2 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。

第330条 (動産の先取特権の順位)
同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
動産の保存の先取特権
動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
2 前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
3 果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。

第331条 (不動産の先取特権の順位)
同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第325条(不動産の先取特権)各号に掲げる順序に従う。
2 同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。

第332条 (同一順位の先取特権)
同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。

先取特権の順位

第4節 先取特権の効力 (第333条―第341条)

第333条 (先取特権と第三取得者)
先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

第334条 (先取特権と動産質権との競合)
先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第33条(動産の先取特権の順位)の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。

第335条 (一般の先取特権の効力)
一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
2 一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。
3 一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。
4 前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。

第336条 (一般の先取特権の対抗力)
一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。

第337条 (不動産保存の先取特権の登記)
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。

第338条 (不動産工事の先取特権の登記)
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
2 工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。

第339条 (登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権)
前2条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。

第340条 (不動産売買の先取特権の登記)
不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。

第341条 (抵当権に関する規定の準用)
先取特権の効力については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定を準用する。

先取特権の効力

第9章 質権

第1節 総則 (第342条―第351条)

第342条 (質権の内容)
質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

第343条 (質権の目的)
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。

第344条 (質権の設定)
質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

第345条 (質権設定者による代理占有の禁止)
質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。

第346条 (質権の被担保債権の範囲)
質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

第347条 (質物の留置)
質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。

第348条 (転質)
質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。

第349条 (契約による質物の処分の禁止)
質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。

第350条 (留置権及び先取特権の規定の準用)
第296条(留置権の不可分性)から第300条(留置権の行使と債権の消滅時効)まで及び第304条(物上代位)の規定は、質権について準用する。

第351条 (物上保証人の求償権)
他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。

質権 総則

第2節 動産質 (第352条―第355条)

第352条 (動産質の対抗要件)
動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。

第353条 (質物の占有の回復)
動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。

第354条 (動産質権の実行)
動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。

第355条 (動産質権の順位)
同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。

動産質

第3節 不動産質 (第356条―第361条)

第356条 (不動産質権者による使用及び収益)
不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。

第357条 (不動産質権者による管理の費用等の負担)
不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。

第358条 (不動産質権者による利息の請求の禁止)
不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。

第359条 (設定行為に別段の定めがある場合等)
前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法 (昭和54年法律第四号)第180条第二号 に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。

第360条 (不動産質権の存続期間)
不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
2 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。

第361条 (抵当権の規定の準用)
不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。

不動産質

第4節 権利質 (第362条―第368条)

第362条 (権利質の目的等)
質権は、財産権をその目的とすることができる。
2 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。

第363条 (債権質の設定)
債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権の目的とするときは、質権の設定は、その証書を交付することによって、その効力を生ずる。

第364条 (指名債権を目的とする質権の対抗要件)
指名債権を質権の目的としたときは、第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。

第365条 (指図債権を目的とする質権の対抗要件)
指図債権を質権の目的としたときは、その証書に質権の設定の裏書をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

第366条 (質権者による債権の取立て等)
質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
2 債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
3 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
4 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。

第367条 削除

第368条 削除

権利質

第10章 抵当権

第1節 総則 (第369条―第372条)

第369条 (抵当権の内容)
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

第370条 (抵当権の効力の及ぶ範囲)
抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第424条(詐害行為取消権)の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。

第371条
抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

第372条 (留置権等の規定の準用)
第296条(留置権の不可分性)、第304条(物上代位)及び第351条(物上保証人の求償権)の規定は、抵当権について準用する。

抵当権 総則

第2節 抵当権の効力 (第373条―第395条)

第373条 (抵当権の順位)
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

第374条 (抵当権の順位の変更)
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

第375条 (抵当権の被担保債権の範囲)
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。

第376条 (抵当権の処分)
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2 前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

第377条 (抵当権の処分の対抗要件)
前条の場合には、第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。

第378条 (代価弁済)
抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

第379条 (抵当権消滅請求)
抵当不動産の第三取得者は、第383条(抵当権消滅請求の手続)の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

第380条
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

第381条
抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。

第382条 (抵当権消滅請求の時期)
抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

第383条 (抵当権消滅請求の手続)
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

第384条 (債権者のみなし承諾)
次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第188条 において準用する同法第63条第3項 若しくは第68条の3第3項 の規定又は同法第183条第1項第五号 の謄本が提出された場合における同条第2項 の規定による決定を除く。)が確定したとき。

第385条 (競売の申立ての通知)
第383条(抵当権消滅請求の手続)各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。

第386条 (抵当権消滅請求の効果)
登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。

第387条 (抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)
登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。

第388条 (法定地上権)
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

第389条 (抵当地の上の建物の競売)
抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
2 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。

第390条 (抵当不動産の第三取得者による買受け)
抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。

第391条 (抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求)
抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第196条(占有者による費用の償還請求)の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。

第392条 (共同抵当における代価の配当)
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
2 債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。

第393条 (共同抵当における代位の付記登記)
前条第2項後段の規定により代位によって抵当権を行使する者は、その抵当権の登記にその代位を付記することができる。

第394条 (抵当不動産以外の財産からの弁済)
抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。
2 前項の規定は、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。この場合において、他の各債権者は、抵当権者に同項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。

第395条 (抵当建物使用者の引渡しの猶予)
抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるも(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
競売手続の開始前から使用又は収益をする者
強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。

抵当権の効力

第3節 抵当権の消滅 (第396条―第398条)

第396条 (抵当権の消滅時効)
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

第397条 (抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)
債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。

第398条 (抵当権の目的である地上権等の放棄)
地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。

抵当権の消滅

第4節 根抵当 (第398条の2―第398条の22)

第398条の2 (根抵当権)
抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。

第398条の3 (根抵当権の被担保債権の範囲)
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
2 債務者との取引によらないで取得する手形上又は小切手上の請求権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
債務者の支払の停止
債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え

第398条の4 (根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
2 前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
3 第1項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

第398条の5 (根抵当権の極度額の変更)
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。

第398条の6 (根抵当権の元本確定期日の定め)
根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
2 第398条の4第2項(後順位抵当権者その他の第三者の承諾不要)の規定は、前項の場合について準用する。
3 第1項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。
4 第1項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。

第398条の7 (根抵当権の被担保債権の譲渡等)
元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
2 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
3 元本の確定前に債権者又は債務者の交替による更改があったときは、その当事者は、第518条の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。

第398条の8 (根抵当権者又は債務者の相続)
元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
3 第398条の4第2項(後順位抵当権者その他の第三者の承諾不要)の規定は、前二項の合意をする場合について準用する。
4 第1項及び第2項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。

第398条の9 (根抵当権者又は債務者の合併)
元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。
3 前二項の場合には、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、前項の場合において、その債務者が根抵当権設定者であるときは、この限りでない。
4 前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。
5 第3項の規定による請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。

第398条の10 (根抵当権者又は債務者の会社分割)
元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。
3 前条第3項から第5項までの規定は、前二項の場合について準用する。

第398条の11 (根抵当権の処分)
元本の確定前においては、根抵当権者は、第376条第1項(抵当権の処分)の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
2 第377条第2項(抵当権の処分の対抗要件)の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。

第398条の12 (根抵当権の譲渡)
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2 根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
3 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

第398条の13(根抵当権の一部譲渡)
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すことをいう。以下この節において同じ。)をすることができる。

第398条の14 (根抵当権の共有)
根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。
2 根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第398条の12第1項(根抵当権の譲渡)の規定によりその権利を譲り渡すことができる。

第398条の15 (抵当権の順位の譲渡又は放棄と根抵当権の譲渡又は一部譲渡)
抵当権の順位の譲渡又は放棄を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡又は一部譲渡をしたときは、譲受人は、その順位の譲渡又は放棄の利益を受ける。

第398条の16 (共同根抵当)
第392条(共同抵当における代価の配当)及び第393条(共同抵当における代位の付記登記)の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。

第398条の17(共同根抵当の変更等)
前条の登記がされている根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者若しくは極度額の変更又はその譲渡若しくは一部譲渡は、その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ、その効力を生じない。
2 前条の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は、一個の不動産についてのみ確定すべき事由が生じた場合においても、確定する。

第398条の18 (累積根抵当)
数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第398条の16(共同根抵当)の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。

第398条の19 (根抵当権の元本の確定請求)
根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
2 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
3 前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

第398条の20 (根抵当権の元本の確定事由)
次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第372条(留置権等の規定の準用)において準用する第304条(物上代位)の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

第398条の21 (根抵当権の極度額の減額請求)
元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
2 第398条の16(共同根抵当)の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。

第398条の22 (根抵当権の消滅請求)
元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
2 第398条の16(共同根抵当)の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
3 第380条及び第381条(抵当権消滅請求者の限度)の規定は、第1項の消滅請求について準用する。

根抵当