第3章 親子
第1節 実子
第772条 (嫡出の推定)
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
第773条 (父を定めることを目的とする訴え)
第733条第1項(再婚禁止期間)の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。
第774条 (嫡出の否認)
第772条(嫡出の推定)の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
第775条 (嫡出否認の訴え)
前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
第776条 (嫡出の承認)
夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。
第777条 (嫡出否認の訴えの出訴期間)
嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。
第778条
夫が成年被後見人であるときは、前条の期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算する。
第779条 (認知)
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
第780条 (認知能力)
認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。
第781条 (認知の方式)
認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。
第782条 (成年の子の認知)
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
第783条 (胎児又は死亡した子の認知)
父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。
第784条 (認知の効力)
認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。
第785条 (認知の取消しの禁止)
認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
第786条 (認知に対する反対の事実の主張)
子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。
第787条 (認知の訴え)
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
第788条 (認知後の子の監護に関する事項の定め等)
第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)の規定は、父が認知する場合について準用する。
第789条 (準正)
父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。
第790条 (子の氏)
嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
2 嫡出でない子は、母の氏を称する。
第791条 (子の氏の変更)
子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
3 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
4 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。