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第4編 親族

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第1章 総則 (第725条―第730条)

第725条 (親族の範囲)
次に掲げる者は、親族とする。
六親等内の血族
配偶者
三親等内の姻族

第726条 (親等の計算)
親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。
2 傍系親族の親等を定めるには、その一人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数による。

第727条 (縁組による親族関係の発生)
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。

第728条 (離婚等による姻族関係の終了)
姻族関係は、離婚によって終了する。
2夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

第729条 (離縁による親族関係の終了)
養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。

第730条 (親族間の扶け合い)
直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

親族 総則 標準

第2章 婚姻

第1節 婚姻の成立

第1款 婚姻の要件 (第731条―第741条)

第731条 (婚姻適齢)
男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。

第732条 (重婚の禁止)
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

第733条 (再婚禁止期間)
女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して六箇月百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。 成28年6月7日公布・施行
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

第734条 (近親者間の婚姻の禁止)
直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第817条の9(実方との親族関係の終了)の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

第735条 (直系姻族間の婚姻の禁止)
直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第728条(離婚等による姻族関係の終了)又は第817条の9(実方との親族関係の終了)の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。

第736条 (養親子等の間の婚姻の禁止)
養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条(離縁による親族関係の終了)の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。

第737条 (未成年者の婚姻についての父母の同意)
未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
2 父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。

第738条 (成年被後見人の婚姻)
成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。

第739条 (婚姻の届出)
婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

第740条 (婚姻の届出の受理)
婚姻の届出は、その婚姻が第731条(婚姻適齢)から第737条(未成年者の婚姻についての父母の同意)まで及び前条第2項(婚姻の届出)の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

第741条 (外国に在る日本人間の婚姻の方式)
外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、前二条の規定を準用する。

婚姻の要件 標準

第2款 婚姻の無効及び取消し (第742条―第749条)

第742条 (婚姻の無効)
婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項(婚姻の届出)に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

第743条 (婚姻の取消し)
婚姻は、次条から第747条(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)までの規定によらなければ、取り消すことができない。

第744条 (不適法な婚姻の取消し)
第731条(婚姻適齢)から第736条(養親子等の間の婚姻の禁止)までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
2 第732条(重婚の禁止)又は第733条(再婚禁止期間)の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。

第745条 (不適齢者の婚姻の取消し)
第731条(婚姻適齢)の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することができない。
2 不適齢者は、適齢に達した後、なお三箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。

第746条 (再婚禁止期間内にした婚姻の取消し)修正中
第733条(再婚禁止期間)の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消しの日から起算して六箇月百日を経過し、又は女が再婚後に懐胎出産したときは、その取消しを請求することができない。

第747条 (詐欺又は強迫による婚姻の取消し)
詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。

第748条 (婚姻の取消しの効力)
婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
2 婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。
3 婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。

第749条 (離婚の規定の準用)
第728条第1項(離婚等による姻族関係の終了)、第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)から第769条(離婚による復氏の際の権利の承継)まで、第790条第1項ただし書(出生前に父母が離婚した時の子の氏)並びに第819条第2項(裁判所による親権者の定め)、第3項(子の出生前に父母が離婚した場合の親権者)、第5項(裁判所の協議に代わる審判)及び第6項(裁判所による親権者の変更)の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

婚姻の無効及び取消し 標準

第2節 婚姻の効力 (第750条―第754条)

第750条 (夫婦の氏)
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

第751条 (生存配偶者の復氏等)
夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
2 第769条(離婚による復氏の際の権利の承継)の規定は、前項及び第728条第2項(夫婦の一方が死亡した場合の姻族関係の終了)の場合について準用する。

第752条 (同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

第753条 (婚姻による成年擬制)
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

第754条 (夫婦間の契約の取消権)
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

婚姻の効力 標準

第3節 夫婦財産制

第1款 総則 (第755条―第759条)

第755条 (夫婦の財産関係)
夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。

第756条 (夫婦財産契約の対抗要件)
夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。

第757条 削除

第758条 (夫婦の財産関係の変更の制限等)
夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。
2 夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。
3 共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。

第759条 (財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)
前条(夫婦の財産関係の変更の制限等)の規定又は第755条(夫婦の財産関係)の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。

夫婦財産制 総則 標準

第2款 法定財産制 (第760条―第762条)

第760条 (婚姻費用の分担)
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

第761条 (日常の家事に関する債務の連帯責任)
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

第762条 (夫婦間における財産の帰属)
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

法定財産制 標準

第4節 離婚

第1款 協議上の離婚 (第763条―第769条)

第763条 (協議上の離婚)
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

第764条 (婚姻の規定の準用)
第738条(成年被後見人の婚姻)、第739条(婚姻の届出)及び第747条(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)の規定は、協議上の離婚について準用する。

第765条 (離婚の届出の受理)
離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第739条第2項(婚姻の届出)の規定及び第819条第1項(協議による親権者の定め)の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2 離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。

第766条 (離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

第767条 (離婚による復氏等)
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。

第768条 (財産分与)
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

第769条 (離婚による復氏の際の権利の承継)
婚姻によって氏を改めた夫又は妻が、第897条第1項(祭祀に関する権利の承継)の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者その他の関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。

協議上の離婚 標準

第2款 裁判上の離婚 (第770条―第771条)

第770条 (裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
配偶者に不貞な行為があったとき。
配偶者から悪意で遺棄されたとき。
配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

第771条 (協議上の離婚の規定の準用)
第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)から第769条(離婚による復氏の際の権利の承継)までの規定は、裁判上の離婚について準用する。

裁判上の離婚 標準

第3章 親子

第1節 実子 (第772条―第791条)

第772条 (嫡出の推定)
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

第773条 (父を定めることを目的とする訴え)
第733条第1項(再婚禁止期間)の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。

第774条 (嫡出の否認)
第772条(嫡出の推定)の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。

第775条 (嫡出否認の訴え)
前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。

第776条 (嫡出の承認)
夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。

第777条 (嫡出否認の訴えの出訴期間)
嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。

第778条
夫が成年被後見人であるときは、前条の期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算する。

第779条 (認知)
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

第780条 (認知能力)
認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。

第781条 (認知の方式)
認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。

第782条 (成年の子の認知)
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。

第783条 (胎児又は死亡した子の認知)
父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。

第784条 (認知の効力)
認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

第785条 (認知の取消しの禁止)
認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。

第786条 (認知に対する反対の事実の主張)
子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。

第787条 (認知の訴え)
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

第788条 (認知後の子の監護に関する事項の定め等)
第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)の規定は、父が認知する場合について準用する。

第789条 (準正)
父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。

第790条 (子の氏)
嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
2 嫡出でない子は、母の氏を称する。

第791条 (子の氏の変更)
子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
3 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
4 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

実子 標準

第2節 養子

第1款 縁組の要件 (第792条―第801条)

第792条 (養親となる者の年齢)
成年に達した者は、養子をすることができる。

第793条 (尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

第794条 (後見人が被後見人を養子とする縁組)
後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。

第795条 (配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

第796条 (配偶者のある者の縁組)
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

第797条 (十五歳未満の者を養子とする縁組)
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。

第798条 (未成年者を養子とする縁組)
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。

第799条 (婚姻の規定の準用)
第738条(成年被後見人の婚姻)及び第739条(婚姻の届出)の規定は、縁組について準用する。

第800条 (縁組の届出の受理)
縁組の届出は、その縁組が第792条(養親となる者の年齢)から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

第801条 (外国に在る日本人間の縁組の方式)
外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、第799条(婚姻の規定の準用)において準用する第739条(婚姻の届出)の規定及び前条の規定を準用する。

縁組の要件 標準

第2款 縁組の無効及び取消し (第802条―第808条)

第802条 (縁組の無効)
縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
当事者が縁組の届出をしないとき。ただし、その届出が第799条(婚姻の規定の準用)においてする第739条第2項(婚姻の届出の要件)に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。

第803条 (縁組の取消し)
縁組は、次条から第808条(婚姻の取消し等の規定の準用)までの規定によらなければ、取り消すことができない。

第804条 (養親が未成年者である場合の縁組の取消し)
第792条(養親となる者の年齢)の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養親が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

第805条 (養子が尊属又は年長者である場合の縁組の取消し)
第793条(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)の規定に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。

第806条 (後見人と被後見人との間の無許可縁組の取消し)
第794条(後見人が被後見人を養子とする縁組)の規定に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、管理の計算が終わった後、養子が追認をし、又は六箇月を経過したときは、この限りでない。
2 前項ただし書の追認は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した後にしなければ、その効力を生じない。
3 養子が、成年に達せず、又は行為能力を回復しない間に、管理の計算が終わった場合には、第1項ただし書の期間は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した時から起算する。

第806条の2 (配偶者の同意のない縁組等の取消し)
第796条(配偶者のある者の縁組)の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、縁組を知った後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
2 詐欺又は強迫によって第796条(配偶者のある者の縁組)の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

第806条の3 (子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し)
第797条第2項(十五歳未満の者を養子とする縁組の場合の監護者の同意義務)の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
2 前条第2項の規定は、詐欺又は強迫によって第797条第2項(十五歳未満の者を養子とする縁組の場合の監護者の同意義務)の同意をした者について準用する。

第807条 (養子が未成年者である場合の無許可縁組の取消し)
第798条(未成年者を養子とする縁組)の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族又は養子に代わって縁組の承諾をした者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養子が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

第808条 (婚姻の取消し等の規定の準用)
第747条(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)及び第748条(婚姻の取消しの効力)の規定は、縁組について準用する。この場合において、第747条第2項(詐欺又は強迫による婚姻の取消権の消滅事由)中の「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
2 第769条(離婚による復氏の際の権利の承継)及び第816条(離縁による復氏等)の規定は、縁組の取消しについて準用する。

縁組の無効及び取消し 標準

第3款 縁組の効力 (第809条・第810条)

第809条 (嫡出子の身分の取得)
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

第810条 (養子の氏)
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

縁組の効力 標準

第4款 離縁 (第811条―第817条)

第811条 (協議上の離縁等)
縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2 養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5 第2項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

第811条の2 (夫婦である養親と未成年者との離縁)
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。

第812条 (婚姻の規定の準用)
第738条(成年被後見人の婚姻)、第739条(婚姻の届出)及び第747条(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)の規定は、協議上の離縁について準用する。この場合において、同条第2項(詐欺又は強迫による婚姻の取消権の消滅事由)中の「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。

第813条 (離縁の届出の受理)
離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第739条第2項(婚姻の届出の要件)の規定並びに第811条(協議上の離縁等)及び第811条の2(夫婦である養親と未成年者との離縁)の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2 離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。

第814条 (裁判上の離縁)
縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
他の一方から悪意で遺棄されたとき。
他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2 第770条第2項(事情考慮による離婚請求の棄却)の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。

第815条 (養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者)
養子が十五歳に達しない間は、第811条(協議上の離縁等)の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。

第816条 (離縁による復氏等)
養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
2 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。

第817条 (離縁による復氏の際の権利の承継)
第769条(離婚による復氏の際の権利の承継)の規定は、離縁について準用する。

離縁 標準

第5款 特別養子 (第817条の2―第817条の11)

第817条の2 (特別養子縁組の成立)
家庭裁判所は、次条から第817条の7(子の利益のための特別の必要性)までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2 前項に規定する請求をするには、第794条(後見人が被後見人を養子とする縁組)又は第798条(後見人が被後見人を養子とする縁組)の許可を得ることを要しない。

第817条の3 (養親の夫婦共同縁組)
養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
2 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。

第817条の4 (養親となる者の年齢)
二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。

第817条の5 (養子となる者の年齢)
第817条の2(特別養子縁組の成立)に規定する請求の時に六歳に達している者は、養子となることができない。ただし、その者が八歳未満であって六歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は、この限りでない。

第817条の6 (父母の同意)
特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。

第817条の7 (子の利益のための特別の必要性)
特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

第817条の8 (監護の状況)
特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
2前項の期間は、第817条の2(特別養子縁組の成立)に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。

第817条の9 (実方との親族関係の終了)
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第817条の3第2項ただし書(夫婦の一方が他の一方の嫡出である子の養親となる場合)に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。

第817条の10 (特別養子縁組の離縁)
次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
実父母が相当の監護をすることができること。
2 離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。

第817条の11 (離縁による実方との親族関係の回復)
養子と実父母及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。

特別養子 標準