第4款 離縁
第811条 (協議上の離縁等)
縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2 養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5 第2項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
第811条の2 (夫婦である養親と未成年者との離縁)
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
第812条 (婚姻の規定の準用)
第738条(成年被後見人の婚姻)、第739条(婚姻の届出)及び第747条(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)の規定は、協議上の離縁について準用する。この場合において、同条第2項(詐欺又は強迫による婚姻の取消権の消滅事由)中の「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
第813条 (離縁の届出の受理)
離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第739条第2項(婚姻の届出の要件)の規定並びに第811条(協議上の離縁等)及び第811条の2(夫婦である養親と未成年者との離縁)の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2 離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。
第814条 (裁判上の離縁)
縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
二 他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2 第770条第2項(事情考慮による離婚請求の棄却)の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。
第815条 (養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者)
養子が十五歳に達しない間は、第811条(協議上の離縁等)の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。
第816条 (離縁による復氏等)
養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
2 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。
第817条 (離縁による復氏の際の権利の承継)
第769条(離婚による復氏の際の権利の承継)の規定は、離縁について準用する。